疫病に対する中医学の考え方と対応(3) 「中国の《3薬3方》について」

最終回の今回は中国の抗疫医療現場の第一線において使用された中成薬製剤と煎じ薬処方をご紹介します。今回の中国の新型冠状ウイルス肺炎の治療には、中国国家中医薬管理局から推奨された金花清感顆粒、連花清瘟カプセル、血必净注射液の3つの漢方薬製剤と、宣肺敗毒方、清肺排毒方、化湿敗毒方の3つの煎じ薬処方、すなわち「3薬3方」に極めて良好な治療効果が見られました。たとえば、「金花清感顆粒(きんかせいかんかりゅう)」を使ったチームと西洋医学治療のチームを比較しますと、患者の増悪率は11.8% VS 29.4%、解熱時間は1.5日VS 3日、リンパ細胞の回復率74.5% VS 64.7% という結果で、漢方製剤の有効性が証明されました。

次に「3薬3方」の内容について具体的にご紹介いたします。

1金花清感顆粒(きんかせいかんかりゅう)

金銀花、石膏、麻黄、杏仁、黄芩、連翹、貝母、知母、牛蒡子、青蒿、薄荷、甘草からなります。この処方は疎風宣肺、清熱解毒の方剤で、新型コロナウイルス感染症初期から用います。臨床では微悪風寒、咽痛咽赤、鼻づまり、鼻水、口渇、咳、咳痰・舌赤、舌苔が薄黄、脈数などの風邪侵肺、熱毒邪盛証に適します。

2連花清瘟カプセル(れんかせいうんカプセル)

連翹、金銀花、麻黄、杏仁、石膏、板藍根、貫衆、魚腥草、藿香、大黄、紅景天、薄荷、甘草からなります。この処方は清瘟解毒、宣肺泄熱の方剤で、新型コロナウイルス感染症初期から中期に用います。臨床では発熱または高熱、筋肉痛、鼻づまり、鼻水、咳、頭痛、喉乾または喉の腫痛、便秘、舌紅、苔薄黄、脈数などの風瘟侵肺、熱毒炽盛証に適します。

3血必净注射液(けつひつせいちゅうしゃえき)

紅花、赤芍薬、川芎、丹参、当帰からなります。この処方は化瘀解毒の方剤で、新型コロナウイルス感染症の中期から重症までに用います。発熱、喘息、心動悸、煩躁、舌紅、苔黄膩(黄色くてねばねば)などの瘀毒互結証に適します。

4宣肺敗毒方(せんはいはいどくほう)

麻黄、杏仁、石膏、薏苡仁、蒼朮、藿香、青蒿、虎杖、馬鞭草、芦根、葶藶子、化橘紅、生甘草からなります。この処方は辛涼宣肺、清肺平喘の方剤で、新型コロナウイルス感染症初期や軽症、一般証に用います。発熱、咳、喘息、痰黄、胸悶、舌紅、苔黄膩などの熱毒侵入、肺熱気閉証に適します。

5清肺排毒方(せいはいはいどくほう)

麻黄、炙甘草、杏仁、生石膏、桂枝、沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、柴胡、黄芩、半夏、生姜、紫苑、款冬花、射干、細辛、山薬、枳実、陳皮、藿香からなります。この処方は宣肺清熱、利湿化痰の方剤で、新型コロナウイルス感染症の軽症、一般症、および重症の患者に用います。臨床では倦怠感がひどく、発熱、咳、痰多、咽痛、胸悶、吐き気、食欲不振、下痢、苔膩(ねばねば)などの疫毒内侵、湿痰阻肺証に適します。

6化湿敗毒方(かしつはいどくほう)

麻黄、藿香、杏仁、石膏、半夏、厚朴、蒼朮、草果、茯苓、生黄耆、赤芍薬、葶藶子、生大黄、甘草からなります。この処方は解毒化湿、清肺平喘の方剤で、新型コロナウイルス感染症の初期から重症までの湿毒疫邪が強い患者に用います。発熱、倦怠感、咳、吐き気、便秘、舌紅、苔膩などの湿毒蘊結、肺熱鬱閉証に適します。

これらの処方薬についてさらに詳しく解説するには大量の時間が必要ですので、ここまでにいたします。皆様は臨床において正しく弁証したうえでご活用ください。

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